成年後見

 成年後見制度とは、高齢化社会への対応及び知的障害者・精神障害者等の方々の生活面の支援に対応するため、自己決定の尊重・残存能力の活用・ノーマライゼーション(障害のある人も家庭や地域で通常の生活ができるようになる社会をつくる)等の新しい理念と従来の本人の保護の理念との調和をはかるための制度です。

 成年後見制度と同様に、高齢者や障害者をサポートする制度として介護保険制度がありますが、介護保険制度は主に肉体的なサポートによって、ご本人の生活支援・保護を行うのに対し、成年後見制度は、判断能力が不十分な方の契約行為や財産管理を、身上配慮の上支援し、ご本人が思わぬ不利益や悪質商法等の被害にあわないように守るための制度です。例えば、認知症(痴呆症)により、判断能力を失った方がいる場合、その方が自分の財産全部を誰かに贈与する契約をしてしまったときには全財産を失ってしまいます。この場合、「意思能力」がないのに契約をしたこと、を証明できれば、その贈与契約は無効になります。しかし、契約時に意思能力がなかったことを証明するには、裁判をして医師の鑑定書を出してもらうなど、契約を無効とするには困難がつきまといます。

 結局、テレビや市役所等で配布しているリーフレットなどで注意を呼びかけても被害は後を絶たず、また、相手方の所在がつかめず対処が難しいということであるならば、そのような被害を未然に防ぐことが重要であるといえます。

 成年後見制度制定までの時代背景(民法改正)
  禁治産・準禁治産という制度があったのをご存知でしょうか?
  禁治産・準禁治産制度というものが民法改正前に存在し、これは成年後見制度同様に、判断能力が不十分な成年者を保護する制度でした。しかし、この制度は、「判断能力の不十分さが比較的軽度な人を対象としていない」、「後見人の権限が強力なことにより相続財産争いに利用される」、「戸籍へ記載されるので差別的なイメージがある」などといった理由から、その利用は多くありませんでした。そこで、禁治産・準禁治産という用語だけでなく、制度の内容も変更し(ノーマライゼーションの確立と自己決定権の尊重を理念として本人の権利を保護する)、平成12年4月1日より、成年後見制度が施行されました。